第368話男が突然鏡を見始めたとき

「そう言われると、いくつか思いつくことはあるわ。そうだ、前に約束した人工知能の件なんだけど――明日、うちの会社を見に来ない? プロジェクトはもうほとんど仕上がってるし、あなただけ特別に、出資の順番を先に回してあげる」

いま進行中のプロジェクトが世に出てからでは、もう間に合わない。

可能性に気づいた他社が動き出せば、出資したがる者などいくらでも現れるはずだ。

「順番を先に」と口にしたエミリーは、ずる賢そうに笑った。

そんな顔をされると、ダニエルの胸がくすぐられる。

賢い子猫が、前足をぱっと開いてはきゅっと閉じるみたいに――たまらなく愛らしい。

「順番を先にしてくれてありがとう。ってこ...

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